南方熊楠という人物

なかでも私にとって一番の教養人をあげるならば、それは南方熊楠である。立花隆を知の巨人ということがよくある。南方熊楠は、呼んでみるならば知の大巨人といったところである。歩くエンサイクロペディアといわれたこともあるそうだ。日本人としてはじめて英国科学雑誌Nature』に論文が掲載されたことでも有名である。
私が南方熊楠を知ったのは、彼がおこなった粘菌という種の生物に関する研究が最初であった。高校時代、生物の授業で粘菌の特異な生態や生活環をまなび、大変興味を持ったので、夏休みに採集に行ったり、課題研究のテーマに細胞性粘菌を選んだりした。そうこうして調べているうちに、南方熊楠という人物が世界的にも先見的な粘菌研究をしていたということを知ったわけである。
南方熊楠の著作でもっとも有名なのは、『十二支考』であろう。十二支に出てくる動物についていろいろな逸話をまじえて語った本らしい。まだ読んでいないので、今度読んでみることにしたい。

十二支考 (上) (ワイド版岩波文庫 (220))

十二支考 (上) (ワイド版岩波文庫 (220))

南方熊楠のすごさは、なんといっても、知識の豊富さとその有機的結合にある。解説本がたくさん出ているが、われわれひとりでは到底太刀打ちできないほどの奥行きの広さがある。
そのうちのひとつ。中沢新一さんによる南方熊楠論である。また今度読んでみることにする。
森のバロック

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